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緩かに I Love you
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今…恋次は俺の部屋にいる。


ゆるゆるとカーテン越しに入ってくる陽射しは、

そろそろ夏の匂いがし始めて、

なんだか優しい雰囲気がする。


俺も恋次も何も喋らないで、

ただ静かな時間だけが過ぎていく…。


ベッドに寄り掛かって、

何するでもなくて…。

どちらかが話すのを待っている。



なのに、この気まずい空気はなんだ!!




「んで…、なんでこの人がいる訳?」
「俺に聞くな」
「狭い」




それは、早ぇ話しが約一名、

俺と恋次の間に

きっちり正座しているからだった。




「だからぁ、
なんであんたが此処にいるんだよ!!」

「部下の貞操を守るのも
上司の役目だ小僧」

「貞操ってなんだよ、
それに俺は小僧じゃねぇ!!」

「これは私とした事が、
言い直そう『現世の小僧』」

「イヤミかよ」

「ほぅ…解ったか」

「あ、あの…
隊長も一護も…やめて…」

「恋次は黙ってろ!!」

「あ…、はい」

「くぉのやろぉ。
いちいち邪魔しに来やがって糞貴族!!」

「なんと申した?」

「く・そ・き・ぞ・く。
聞こえなかったのか?
やっぱ歳喰ってると耄碌するんだな」

「げ、なんて事」

「散れ…」

「わぁっ!!
やめて下さいよ隊長、こんなトコで!!
一護もいい加減にしろ!!」

「俺は恋次にキスしたいの!!
手ぇ握り締めたいの!!
抱き締めたいの!!」

「一護…(ポッ)」

「あんたマジで邪魔なんだよ。
くっそぉ、
興奮したら鼻水出てきたじゃねぇか。
その襟巻きで拭いてやる」

「よせ一護!!
このなんたら羽衣はな」

「銀白風花紗」

「ども、
そのなんたらウスギヌはな
屋敷が十軒建つ程の高価な…」

「知るか、ズゾゾゾ」

「ひぇぇぇ」

「散れ…」

「やめて下さいってばぁ!!」

「お…」

「ど、どしたんスか隊長」

「伝令神機が鳴った」

「聞こえなかったスよ」

「マナーモード」

「はぁ、流石っスねぇ」

『朽木白哉様…お話しくだ…
『隊長ぉ!! 何してらっしゃるんですかぁ!!』
さい?』

「理吉か…」

『恋次さんは非番ですけど、
隊長は違うじゃないですかぁ。
早く帰って来て下さいぃぃ(泣き)』

「……しかし恋次の貞操…」

『だいちょおぉ(号泣)』

「……解った、すぐ帰る」

「おぅおぅ、
とっとと帰っちまえ」

「開錠!!」


ドーン!!


「おわぁっ!!」

「それでは恋次、
私は帰るが…
くれぐれも貞操は…」

「は、はいっ」

「んなモン、
とっくに頂いちまったぜ」

「何か言ったか…」

「い、いえ何も!!
お気を付けて隊長!!」

「うむ…」



白哉が帰った後、

俺の部屋に静かさが戻った。


温かな風がカーテンを揺らし…、

俺は身体ひとつ分恋次に近付いた。



「恋次…」
「…あぁ…」




唇を合わせれば…

緩かに愛しさが込み上げる。


その身体を抱き締め囁くのは…

ただ一言…




『I Love you』







プルル…プルル。


「切れよ、んな無粋なモン」

「そうはいくか…、はい」

『阿散井恋次様…
『早く帰って参れ恋次』
……どうぞ』

「今日は、俺のモンなの!!」



恋次の伝令神機を奪い取り、

乱暴に切ると部屋に放り投げた。



今一度、愛の言葉を…

桜の舞い散る中で…て



「桜だとぉ!!」
「散れ…」
「あぎゃあぁ!!」




緩かに…

愛を囁くはずだったのに…




朽木白哉は、殊の外しつこかった。













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