TEXT
仕事中の雑談にて。(白恋)
1/2ページ目
仕事中の雑談にて。













「恋次。」

「はい。」

「少々…話に付き合ってはくれぬか。」

「隊長…この書類の山見えてますか…」








恋次が指差したのは私の机と恋次の机とその他の机。


この間、少々厄介な騒動があり

書類仕事では無く、皆そちらの方に釘付けになった。


その反動で、騒動が終え無事解決した後

それぞれの隊に、大量の書類の山が出来たのだ。


そして、ここ六番隊は、隊長である私が

朽木家の当主で在るが故に

その分の仕事も兼ね合わせている。


従って、他の隊よりも少々書類仕事が多いわけだが

その上にこの量の書類仕事は

見ているだけで溜息の出る厄介な紙束以外の何ものでも無い。






「…終わらないですねぇ…」

「真面目にやれば終わる量だ。」

「そりゃ隊長は俺の何十倍も仕事出来るでしょうけど…
 俺には…キツイです…」





ここで、「無理」という言葉を発さないのが恋次だ。


何事も地道にやればいつかは成し遂げる事ができる。

その根気が恋次には有る。


少々問題点(頭の方に)も有るが

私の副官として、そういった点はなかなかと言えよう。







「地道にやればいつかは出来ますよ。
 でも、締め切り有るのだって有りますから…
 ちょっと、期限早い書類、選抜するんで待ってて下さい。」






そう言って、バサバサと書類をあさり始めた。

一生懸命なその姿が、何ともはや愛らしい。







「…で、話って何ですか?」

「ふむ…いや…下らぬ戯言なのだが…
 ここのところ、例の騒動で会話らしい会話も無かったであろう。
 だから…まあ…久し振りにだな?
 下らぬ話をするのも悪くは無いかと…」





自分の口から漏れた言葉に違和感を持つ。


私は、この紅犬に会って以来、少々丸くなったようだ。

最初は自覚は無かったが…


依然とは明らかに違う自分の思考に度々驚いていれば

気付いたら…といった次第だ。





「全然良っすよ。
 俺も隊長と話したかったんで。」





こやつの笑顔は心臓に悪い…

私も大概、頭に問題が出てきたのだろうか…


いかん…天使のように見えてしまう…(末期)






「まあ、話とはあれなのだ。
 以前、市丸隊長がな?」

「はあ…というと、三番隊の?」

「うむ、そうだ。
 そ奴が
 『何や、朽木隊長はんとこは偉い夫婦じみとんなぁ〜
  阿散井君にそないな風にして貰てるなんて、
  いや〜ホンマに羨ましいわ〜』
 …などと抜かしておったのだ。」

「………はあ…(コメントしづれぇぇぇ!!)」

「勿論、市丸はその後、
 恋次に近づく不逞の輩と見なし、除けておいたのだが…」

「いや、そんなワケ無い…てか、虫ですか。」





この鈍感め…

貴様は周囲に愛想を振り撒きすぎだ!


…と、叱りたいのだが

「何言ってんすか。」

とあしらう恋次の態度は目に見えていたので言わなかった。


…だが、週に一度は忠告するのを忘れていない。







「…で、隊長、市丸隊長が
 言ったのがどうしたんですか?」

「ああ…ふむ…それで、な…」

「はいはい。
 あっ、これ期限今日までじゃねぇか…」

「貴様は聞く気が有るのか…?」

「しょうがねぇでしょ、
 忙しいんですから!!」

「ふん、私を見よ!
 貴様に話をし尚且つ仕事までこなしておるぞ!」

「わ・か・り・ま・し・た・よ!!!!
 聞きます!!」




ぶつくさ文句を言いながら

私の目を真っ直ぐ見た恋次。


別に緊張しているわけではないが

恋次は少しも逸らさず相手の目を見つめるので

妙な圧迫感がある。


紅い瞳を見つめていたら、なんだか可愛く思えてきたが

すぐにその気持ちを掻き消し、話を進めた。





「……その通りではないかと思ったのだ。」

「…………は?」

「聞き返すな。言った以上の意は無い。」

「その意が判んねぇんですけど。」

「なんだと…まったく…
 判りやすく説明するから良く聞け。」

「はい…すみません…
 (何時もの事だが何で上から目線なんだよ…)」

「つまり、
 私が、
 言いたいのは、
 私と、
 貴様が、
 夫婦、
 だと、
 いう事が、
 その通り、
 だと、
 思った、
 のだ。判ったか?」

「そんな丁寧に区切って下さらなくても…
 ていうか…夫婦って…」





それだけ言って、恋次は後ろの書類の方へと向き直し

私はまた話を進めた。




「なんだ、私のいう事に
 間違いがあるとでも言うのか?」

「そんなつもりじゃありませんが…
 でも…夫婦って…」

「?なにかおかしいか?」

「おかしいも何も自分で考えて下さいよ…」

「ふむ…確かに事実上では無いな…」

「そーじゃなくてですね…」

「恋次、案ずる事は無い。」

「は?」

「治安が安定してきたら結婚しよう。」

「いやいやそうじゃなくて…」

「朽木家の投手は私だからな…
 どんな嫁を連れて来ようと文句はあるまい。」

「隊長、字が違います…
 それじゃ朽木家は球団って事になっちゃうんで…
 てか俺、嫁ですか?」

「まあ、そう急ぐ事でも無いか…
 私と貴様の愛は
 既に事実として確立しているのだからな。」

「(聞いてねぇ!)……ったく…
 ほら、この書類お願いしますよ!」





そう言って恋次は

向こうを向いたまま

手だけをこちらに向け私に書類を渡した。



こやつが相手の目を真っ直ぐ見ないときは

感情が揺さぶられている時だ。



そして、この状況。

気持ちが手に取るように判る。







「貴様、上官にそのような渡し方をしても
 良いと思っておるのか?」

「しょ、書類に目ぇ通すので忙しいんですよ…」

「渡す時ぐらいこちらを向いても良かろう。」

「………」

「恋次?」





席を立ち、恋次の方へと足を運ぶ。


相変わらず向こうを向いている恋次の背中を見つめ

腕を伸ばし、喉もとに回してやった。


私が軽く喉もとを撫でれば

びくりと跳ねる恋次の身体。




「恋次、どうした?こちらを向かぬか。」

「っ、たいちょっ…!」

「顔を見せろ。」







少し躊躇った後


こちらを向いた恋次の顔は紅潮しており

先ほどまでの気丈な瞳は潤み


とにかく、私には溜まらない程、愛らしかった。





「…愛い奴め…」

「たい…ちょう…」






恋次の唇に自分の唇を重ねる。


そうすれば、私の背中に腕を回し、抱きしめてくる恋次。



「…愛しい…な…」

「なんすか…急に…////」

「さて…今日は仕事どころでは無いな…」

「何言ってるんですか…
 仕事溜まってるの見えないんすか?」





悪態つきながらも真っ赤な恋次の頬に口付けひとつ。


素直じゃないこやつには

少々仕置きが必要だ。




「溜まっているのは…仕事だけでは…無いのでな…」

「………ばか隊長。////」






その後、私達が深く愛し合ったのは言うまでも無い。


私は、可憐な恋次を堪能し

恋次もきっと私を堪能した事だろう。









〜後日〜




「隊長…どうするんですか、この仕事の量…」

「…知らん。」

「隊長!!!!」





…後日…私達が仕事に追われたのは…



……言うまでも無かろう。










「理吉ぃぃぃぃ!!!!
 今すぐ隊員集めて隊舎集合させろ!!
 遅れた奴とサボった奴と
 仕事中真面目にやらなかった奴は、
 ぶった斬るから覚悟しとけと伝えとけ!!!!」













[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。



w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]
無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ