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チョコレートは何味ですか?
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チョコレートは何味ですか?






俺は、黒崎一護。

今日はクラスの女供がやたらと騒いでる…

何の日かと思ったら、バレンタインデーだったのか!!

…なんていうこと↑を思っていたのは、一年前の話だ。

今年の俺は意識しまくり!!

だって、恋人が居るから!!

でも、そいつバレンタインデーなんて多分知らねー!

んで、ただでさえ忙しいんだから、多分、来ねー!

俺って、悲しいー…!!

昼間に貰ったチョコは、織姫とルキアと、

周りに配りまくってる女子からの義理と、

可愛い知らない女子から本命(多分)で、

貰ったのが全部。計:6個。(義理3個)

可愛い子は、俺に顔真っ赤にしながら渡した。

そりゃあ、嬉しかったけどよ。

袋、教室でそーっと開けてみたら、可愛いメモ用紙に、

『阿散井さんに渡してください…Vv』

………Σ(@д@;)

ちょっ…それは無いだろう…!!!!

恋次の顔なんていつ見たよ!!?

あいつ、授業中寝てんじゃん!!

それ以外の時は、俺とかルキアとかと一緒だから、

顔見るやつなんて、そんな居ねーだろ!!

…なんて思ってた俺は大馬鹿野郎だった。

あんな美人、一度見たら、皆が忘れるハズ無かったんだ。

後、結構、困ってるやつ見かけたら、なんとなく助けてたりしてたらしい。

恋次!俺の恋次ー!!!!うかつに人を助けるなー!!!!

帰りの時に、下駄箱空けたら、チョコがドッサドッサと…

なんで、帰りなんだ。と思って、ちょっと考えてみたら、

俺は、朝は眠くて、ただでさえ眉間によってるシワが更に増えている。

だから、いきおいで捨てられないように…って事だろうと、推理できた。

だからってさあ…多くね??

なんでこんなに入ったんだ。

俺の靴箱でけーな!とか、そういうレベルじゃねーだろ!

紙袋に入れて、自分の物のように振舞ってみる。

男子がちょっと悔しそうな目で、こちらを見ている。

ばーか。どうせ全部、恋次あてに決まってんだろ。

あと、ルキアと織姫の恋次あてチョコが、

なんか俺より豪華なんだけど。

お前ら、俺のこと嫌い?

畜生、女子共め!

これが渡せたら、恋次が家に居るってことだろーが。

どうせ、居ない…ってゆーことを、二重に思わせるんじゃねー!!

なんか、逆チョコとか入ってねーか!?

帰り道に、他校の女子から、何個か貰った。

でも、なんだか虚しいだけだった。

俺に渡したやつ、ザマーミロ。

恋次じゃなくて、俺が食ってやる。

しかも、『まずっ!』とか言いながら食ってやる!

…やめよう、悲し過ぎるだろ、俺…

でもな、分かってんだよ。

この紙袋の中身が全部俺宛てだったとしても。

すごい美人が本命くれたとしても。

俺は、恋次だけにしか、貰いたく無いんだよ。

ああ、真っ赤な死神様…

どうか俺に甘いモノを下さい…

死神様とセットで。(こっちが本命)

滅多に会えねーんだからよ。

記念日ぐらい、来てくれよ…

会いてーよお…恋次ぃ…



そんなことを思っていたら、家についてしまった。



「ただいま…」

「一兄、結構貰ったね。恋次さん宛てでしょ。」

「そうだよ、チクショー!!!!」



俺は、妹に怒鳴って、階段を駆け上がった。

最低だ…後で謝んなきゃ…



「はあー…」

重い気持ちで部屋のドアを開けた。

今日は、ふて寝でもしよう…なんて事をボンヤリ考えた。

「よお、おかえりー」

………ん?

「おっ、それ、『ちょこ』ってやつだろ?くれよ!」

あれ?何これ?嘘?本当?

「何、ボーッとしてんだよ。」

「…んじ……?」

「あ?」

「恋次ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

「うわあっ!抱きつくな、馬鹿一護!!」

「うわあ〜恋次だあ〜!!本当に本当に、恋次だあ〜Vv」

「なんなんだよ、気持ち悪ぃな;」

「恋次、なんで来てんの!?」

「休暇貰ったから…つうのは冗談で、本当は、2時間休憩!」

「2時間!?無理して取ったのか!?」

「だって、今日、『ばれんたいんでえ』なんだろ?」

「えっ、それ…誰に聞いたんだ!?」

「ルキア。織姫に教えてもらったとか言って。」

「…それで来たのか?」

「ああ、まあ、祝い日だっつーから、来てやったっつーのと…」

「と?」

「どっかのクソガキが喜ぶと思ったから。」

ニヤリ、と、挑発的な(俺には可愛くしか見えないのだが)

笑顔を俺に向けて、言葉を言った後、

恋次は、俺を引き寄せてキスをしてきた。

キスする時に閉じる恋次の目が開くのが早かったから、

きっと短くするつもりだったんだと思う。

でも、そうはさせねえ。

「んんン!!?」

恋次の身体をしっかりと抱き固めて、

唇を離させまい、とした。

そして、恋次の目が息苦しさに潤んできたのを確認してから、唇を開放してやった。

「げほっ、何すんだ!!」

「何って、キス。」

「長ぇよ、馬鹿!!」

「だって、可愛かったから。」

「そういう事を言うなっつてんだろ!!」

「悪かったって…;ところで、この紙袋の中のチョコ、全部お前宛みたいなんだけどさあ」

紙袋を恋次の前に突き出したら、甘い匂いがしたのか、恋次が鼻をすり寄せてきた。

「…犬かよ。」

「…なんか言ったか?」

「いや!!何っっっにも!!」

殺気を出すなよ!マジ怖ぇんだって!!

「食う?」

「もちろん!!よこせっ」

「ほい。」

恋次が無作法にチョコの包装紙を開き、すごい勢いで食べていく。

「ふぁっ!ふぉういえばわふへへは!(あっ!そういえば忘れてた!)」

「食いながらしゃべんなよ…;なんだよ?」

「んんんっ、『ゴクッ』っ、これ。織姫に教えられたルキアに作り方教わったから。」

「…これって……」

恋次に渡されたのは

綺麗な桃色の和紙に包まれた、ハート型のチョコレート。

「今日は、恋人に『ちょこれいと』を渡す日なんだろ?」

「カタカナ、苦手だな…;いや…でも、サンキュ…!」

やべえ、やべえ、すげえ嬉しい。

ハート型のチョコレート貰って?それは俺宛で?くれたのは恋人で?

これ以上の幸福は多分無いだろ…てか、絶対無い!!

「恋次、超嬉しい!!有難うな!!愛してる!!vV」

「そりゃどうも;分かったから、抱きつくなよ。食えねえ;」

甘い甘いプレゼント。なんて素敵なバレンタインデー。

チョコレート、万歳!

俺に、甘い記念日を有難う!

今日は、本当にいい日だぜ!いいのか、こんな幸せで!!


「しっかし、本当に俺宛てばっかだな…ん?」

「どした?」

「…一護…これ…」

「!!」

『黒崎一護くんへ
 君がずっと好きでした。この想い、どうか伝わって…』

と、ピンクのファンシーな紙に、水色の可愛い文字で、

ポエムみたいな愛のメッセージが書かれていた。

「一護くんは、たいそうおモテになるんですねえ?」

「…;;;;」

「これは実に可愛いですね。豪華だし、手が込んでそうな、ちょこれいとですし。
 よかったですね、一護君!俺のはもう、いりませんねえ!!」

「!!?ちがっ…恋次…!!!!(滝汗)」

これ以上無いくらいの極上のスマイルをしながら、

甘ったるい声で敬語で話す恋次は、マジギレっぽい。

普通、女の子から本命チョコがきたら、もっと舞い上がるもんじゃねーか?

いいや、んなこと無え!!!!俺の恋人、怖いから!!

頼むから、怒んないで!

恋次からのせっかくのチョコレートを、今にも割りそうな勢いで握り締めないで!!

本当に本当に、お前だけなんだよ、恋次!分かってくれ!!;

やばい、2時間がつぶれる!!本当に、ごめんなさい!!

なんで俺が悪いのか、これっぽっちも分からないけど!!

「…2時間っつーのも半端だし、俺、仕事戻るわ。」

「すみませんでしたあああああああああああ!!!!
 なんで、俺が謝らなきゃいけないのか分からないけども!!」

今日は最高で最悪のバレンタインデー。

会えたのは、これ以上無いくらい嬉しい。

でも、会えたのに、嫌な雰囲気になるのは、生殺しも同然!!

「恋次いいいいい!!!!」

ああもう、俺、ある意味、世界で一番の幸せ者だ…

ハッピー・バレンタインデー!!チクショー!!!!




Fin.
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